米大統領をも動かした写真「世界報道写真展2019」 東京都写真美術館

総計約400万人が会場に足を運ぶ世界最大級の写真展、今年も開催!

東京都写真美術館では2019年6月8日(土)より「世界報道写真展2019 76億の目撃者たち」が開催されます。同展は1955年にオランダのアムステルダムで、世界報道写真財団が発足したことにより、翌年から始まったドキュメンタリー、報道写真の展覧会で今年で62回目となります。編集部では、本展開幕に先がけて行われたプレスプレビューを取材してきました。

2019年は「ポートレート」部門と「世界報道写真ストーリー大賞」が新設され全8部門。それぞれが「単写真(写真1枚)」と「組写真(複数の写真で構成)」に分かれている他、複数の写真を用いてストーリーとして事象を表現した作品を評価する「世界報道写真ストーリー大賞」も新設されました。プレスプレビューではアムステルダムより来日した アナ・レイナ・ミール 世界報道写真財団 コンテストマネージャー によるギャラリートークも行われました。

アナ・レイナ・ミール 世界報道写真財団 コンテストマネージャー :編集部撮影

今年は128カ国から4,738名、78,801点の応募がありました。(※ 昨年の第61回では73,044点の応募だったので約5,000点もの増加となります。)アムステルダムで行われた17名の国際審査員団による審査会では、カメラマンの氏名はもちろん、国籍や性別等は一切伏せた状態、つまり、写真とキャプションのみで審査が行われました。これは、全てのバイアスを排除し、公正な審査を行うためであり、また、入賞作については厳密なファクトチェックも行われたということです。

入賞作品には単なるスポット的なニュースでなく、長い期間をかけてテーマに対しての取材を行い、テーマを深く掘り下げていくスロージャーナリズムや、問題とさらにその解決方法も含めてフォーカスを行うソリューションジャーナリズムの作品が多くセレクトされており、世界報道写真大賞、世界報道写真ストーリー大賞の作品は両方とも移民問題を扱っている点が、それを象徴しているといえます。(アナ・レイナ・ミール氏)

  • 編集部撮影

世界報道写真大賞は米大統領を動かしたこの写真

今年の大賞に輝いたのは、ジョン・ムーア(アメリカ、ゲッティイメージズ)の移民をテーマとしたメキシコ国境での事件を描いた作品。

編集部撮影

亡命のため、アメリカに到着するまで1ヶ月に渡り娘とともに中央アメリカとメキシコを旅してきたサンドラ。トランプ政権は「ゼロ・トレランス(不寛容)」移民政策を発表し、不法に米国入国し拘束された者を刑事訴訟すると述べました。その結果、逮捕された親の多くは子供から切り離され、多くの場合異なる収容施設に送られることとなってしまいました。

  • 世界報道写真大賞 スポットニュースの部 単写真1位
    ジョン・ムーア(アメリカ、ゲッティイメージズ)  国境で泣き叫ぶ少女
    2018年6月12日、メキシコとの国境沿いにあるアメリカ・テキサス州マッカレンで、ホンジュラスからともに来た母親のサンドラ・サンチェスが国境監視員の取り調べを受けている間、泣き叫ぶヤネラ。

この写真の親子は米国政府によって分離されなかったことが確認されていましたが、公開された後でSNS上で広まり、米政権に政治的プレッシャーをかけた形となって、公開から10日後の6月20日、トランプ大統領は政策を覆します。

アナ・レイナ・ミール 氏は、この作品を報道写真が世界や政治に対して、いかに大きな影響力を持ち得るかを示している作品としています。


世界報道写真ストーリー大賞

視覚的な創造性および技術により、素晴らしい編集と順序立てをもって、ジャーナリズム的に極めて重要な問題をとらえている、あるいは表明するストーリーを生み出した写真家を表彰します。

  • 世界報道写真ストーリー大賞 スポットニュースの部 組写真 1位ピーター・テン・ホーペン(オランダ/スウェーデン、アジャンス・ヴュ/シビリアン・アクト) 移民キャラバン
    2018 年10月30日メキシコ南部のタパナテペク郊外で、移民を乗せるために停車したトラックに駆け寄る人々。途中までの乗車に代金を請求する運転手も中にはいたが、大半は支援の印として無償で乗せた。

展示作品一部

  • 左:スポットニュースの部 組写真2位
    モハメド・バドラ(シリア、EPA 通信) 毒ガス使用が疑われる東グータ地区への攻撃で負傷し、治療を受ける人々
    2018 年2月25日、毒ガス使用が疑われるシフォニエの村への攻撃で負傷し、治療を受ける人々。
  • 右:環境の部 組写真1位
    マルコ・グアラジーニ(イタリア、コントラスト) 孤児の少年
    チャドの都市ボルで、ロケット爆弾発射機が描かれた壁を通り過ぎる孤児の少年。
  • 左:現代社会の問題の部 組写真2位
    カタリナ・マーティン・チコ(フランス/スペイン、パノス) コロンビア革命軍(FARC)による出産禁止後に妊娠
    ヨルラディスは、コロンビア革命軍(FARC)に加わっていた間の5回に及ぶ堕胎を経て、6 回目の妊娠を果たした。5回目の妊娠の時は、緩めの衣服を着て妊娠6か月になるまで指揮官に知られないようにしていたという。
  • 右:一般ニュースの部 単写真1位
    クリス・マクグラス(オーストラリア、ゲッティイメージズ) ジャマル・カショギ氏の失踪
    ジャマル・カショギ記者行方不明に対し国際的な反発が高まる中、10月15日、サウジ側の調査員数名がトルコの在イスタンブール・サウジアラビア総領事館に到着した際、ある男性が報道陣を懸命に制止している。
  • 環境の部 単写真1位
    ブレント・スタートン(南アフリカ、ゲッティイメージズ) アカシンガ―勇気ある者たち
    ジンバブエのフンドゥンドゥ野生動物公園で、女性メンバーだけで構成される反密漁武装部隊「アカシンガ」の偽装・隠蔽対策訓練に参加するペトロネラ・チグムブラ(30)。
  • 左:世界報道写真ストーリー大賞候補作 環境の部 組写真 1位
    マルコ・グアラジーニ(イタリア、コントラスト) 危機にあるチャド湖
    チャド・メレアの女性マリア・ハサン(20)。ボコ・ハラムに誘拐され、過激主義者と結婚させられ子どもをもうけたが、その後何とか逃げ出した。
  • 右:世界報道写真ストーリー大賞候補作 一般ニュースの部 組写真 1位
    ロレンツォ・トゥグノリ(イタリア、コントラスト、ワシントンポスト紙に提供) イエメン危機
    5月22日、政府と反政府勢力間で支配権が行き来した南部要衝地アッザンの食料品店の外で物乞いする女性。
  • 左:自然の部 単写真2位
    ヤスパー・ドゥースト (オランダ) フラミンゴのソックス
    オランダ領キュラソーのFDOC(カリブ動物と教育財団)で、足の重度の障害を治すのに役立つ急ごしらえの靴下を履き、確認しているベニイロフラミンゴ。
  • 右:スポーツの部 組写真2位
    マイケル・ハンク (チェコ) 彼が泣いているところを目にしたことがない
    チェコ共和国のパラアイスホッケー代表チームのキャプテンで、これまでパラリンピックに3大会出場しているズデニェク・サフラネクが、ジムで懸垂している。
  • 左:環境の部 単写真2位
    ウォーリー・スカリジ(アメリカ、ロサンゼルス・タイムズ) 避難
    11月10日、米国カリフォルニア州マリブのズマ・ビーチ。山火事の煙が大波のように渦巻きながら迫る中、避難させられ電柱に繋がれた馬たち。
  • 右:自然の部 組写真3位
    インゴ・アート(ドイツ、ナショナルジオグラフィック社に提供) パタゴニアの野生のピューマ
    チリ・パタゴニアのトーレス・デル・パイネ国立公園は、世界のどこよりもピューマの生息数が多いと言われている。発情期の雌の後を追う雄のピューマ。
  • ポートレートの部 組写真3位
    ルイーザ・ドール(ブラジル) ファジェラ
    スペインのバレンシアの火祭りでは、女性や少女がファジェラのドレスに身を包む。祝祭の準備が整った双子のクラウディアとビクトリア。

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2018年の会場取材

世界報道写真展2019 開催概要

東京展

項目内容
会期2019年6月8日(土)~8月4日(日)
休館日毎週月曜日(ただし7月15日[月・祝]開館、翌16日[火]休館)
会場東京都写真美術館 地下1階展示室
〒153-0062 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内 03-3280-0099  http://www.topmuseum.jp
開館時間10:00 ~18:00(木・金は20:00、ただし7月18・19・25・26日、8月1日・2日は21:00まで)
※入館は閉館の30 分前まで
主催世界報道写真財団、朝日新聞社、阪神電気鉄道(大阪)、立命館大学国際平和ミュージアム(京都、滋賀)、立命館アジア太平洋大学(大分)
共催東京都写真美術館(東京)
後援オランダ王国大使館、公益社団法人 日本写真協会、公益社団法人 日本写真家協会、全日本写真連盟
協賛キヤノンマーケティングジャパン株式会社、ゲッティイメージズジャパン株式会社

観覧料

  • 一般 当日…800 円  団体20人以上…640 円
  • 学生 当日…600 円  団体20人以上…480 円
  • 中学・高校生 当日…400 円  団体20人以上…320 円
  • 65歳以上 当日…400 円  団体20人以上…320 円
  • ※小学生以下無料
  • ※チケットは東京都写真美術館でお買い求めいただけます。

公式HP

http://www.asahi.com/event/wpph

巡回予定

  • 大阪 2019 年8月6日(火)~8月15日(木)ハービスHALL
  • 滋賀 2019 年9月23日(月・祝)~10月5日(土)立命館大学びわこ・くさつキャンパスエポックホール
  • 京都 2019 年10月7日(月)~10月31日(木)立命館大学国際平和ミュージアム中野記念ホール
  • 大分 2019 年11月3日(日・祝)~11月15日(金)立命館アジア太平洋大学

読者プレゼントのお知らせ

こちらの展覧会の招待券を5組10名様にプレゼントいたします。応募受付は2019年6月10日(月)23:59まで。当選発表は発送をもってかえさせていただきますのであらかじめご了承くださいませ。下記フォームより必要事項を記入の上応募ください。

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