★★最速会場レポ「ムンク展―共鳴する魂の叫び」(東京都美術館)

エドヴァルド・ムンク《夏の夜、人魚》1893年油彩、カンヴァス 93×117cm

エドヴァルド・ムンク《夏の夜、人魚》1893年
油彩、カンヴァス 93×117cm

第4章 魂の叫び―不安と絶望

エドヴァルド・ムンク《叫び》1910年?テンペラ・油彩、厚紙 83.5×66cm

エドヴァルド・ムンク《叫び》1910年?
テンペラ・油彩、厚紙 83.5×66cm

エドヴァルド・ムンク《絶望》1893-94年油彩、カンヴァス 92×72.5cm

エドヴァルド・ムンク《絶望》1893-94年
油彩、カンヴァス 92×72.5cm

留学中に父をも亡くしたムンクは、パリやベルリンで新たな思想や芸術に刺激を受けながら、次第に象徴性を帯び、人間の内面が露にされたような独自の表現を確立しました。1890年代前半には《叫び》(オスロ国立美術館蔵)などの代表作も制作。それらの異なる主題の中に、人間の不安や孤独と呼応するように空が紅く染まるフィヨルドの風景や、遠近法が強調された同様の構図などを、繰り返し登場させました。画家はやがて装飾的な意図をもった連作〈生命のフリーズ〉を構想。魂の叫びが共鳴するムンクの絵画は20世紀における表現主義の潮流の先駆けとなりました。

第5章 接吻、吸血鬼、マドンナ

エドヴァルド・ムンク《月明かり、浜辺の接吻》1914年油彩、カンヴァス 77×100cm

エドヴァルド・ムンク《月明かり、浜辺の接吻》1914年
油彩、カンヴァス 77×100cm

「接吻」、「吸血鬼」、「マドンナ」は「叫び」と同様、愛や死をテーマとする連作〈生命のフリーズ〉の中核を占めるモティーフです。1894年以降、版画にも取り組んだ画家は、パリやベルリンで多様な技法に精通し、膨大かつ傑出した作品を残しました。ムンクは、新たな表現を探求しながら、時に過去に立ち返り自身の記憶を反芻するように、そして代表作を世間に広める一方、自身の手元に残しておくためにも、後年まで同じ主題に繰り返し取り組み、沢山のヴァリエーションを生みました。

第6章 男と女―愛、嫉妬、別れ

エドヴァルド・ムンク《生命のダンス》1925年油彩、カンヴァス 143×208cm

エドヴァルド・ムンク《生命のダンス》1925年
油彩、カンヴァス 143×208cm

ムンクは自由恋愛が叫ばれる時代のなか、初恋の相手の人妻ミリー・タウロヴ、ベルリン時代に仲間たちのミューズとなったダグニー・ユール、銃の暴発事件を起こした恋人トゥラ・ラーセンなど、女性たちとの愛憎を作品の重要なモティーフとしました。代表作《生命のダンス》をはじめ、〈緑の部屋〉や、晩年アトリエで描いた〈芸術家とモデル〉の連作に至るまで、生涯にわたり愛を主題とした作品の制作を続けました。

第7章 全身肖像画

ムンクは初期から家族や身近な人たちを描いた全身肖像画を手がけ、それをテーマとする展覧会まで開催しました。パトロンたちによる肖像画の注文は、貧しい時代の画家の生活を支えました。恋人トゥラとの間で起こった銃の暴発事件以降、神経症とアルコール依存症に悩まされたムンクは、入院から回復へと至る過程で、医師《ダニエル・ヤコブソン》を威厳ある姿で描き出します。また、自身の芸術を支えた親しい友人たちの肖像を描いて「守護者」と呼び、それらを大切に手元に置いていました。

第8章 躍動する風景―冬景色と太陽

勲章の授与や、個展の成功など、ムンクは40代で祖国での評価を確かなものとします。神経症の療養後は長い放浪生活を終えて故郷に帰還。ようやく手にした経済的な安定の末、自作を並べて制作に取り組める野外アトリエなどを整え、クリスチャニア大学講堂の壁画をはじめとする大規模なプロジェクトにも、意欲的に取り組みました。偉大なる自然と人間の知性を主題としたこの大作をはじめ、祖国の自然をダイナミックに表現したモニュメンタルな風景画をこの頃に数多く描いています。

第9章 画家の晩年

国民的画家となったムンクは1916年にクリスチャニア郊外のエーケリーに家を購入、隠遁生活を送りつつ、旺盛な制作を続けました。ナチス・ドイツの台頭と共にドイツ国内のムンク作品は頽廃芸術として押収され、1940年にはノルウェーがナチスに占領されます。晩年は、鮮やかな色彩と軽いタッチによる平面的で明るい画面の作風を生み出し、《二人、孤独な人たち》など初期作品の再制作も続けました。画家が戦禍のなか1944年で亡くなるのは、80歳のことでした。

開催概要

項目 内容
展覧会名 ムンク展―共鳴する魂の叫び
会期 2018年10月27日(土)~2019年1月20日(日)
開室時間 9:30~17:30
※金曜日、11月1日(木)、11月3日(土・祝)は午後8時まで
(入室は閉室の30分前まで)
休室日 月曜日 (ただし、11/26、12/10、24、1/14は開室)
12/25(火)、1/15(火)
年末年始休館 12/31(月)、1/1(火・祝)
会場 東京都美術館 企画展示室
〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36
主催 東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、
朝日新聞社、テレビ朝日、BS朝日
後援 ノルウェー大使館
協賛 アトレ、鹿島建設、ショップチャンネル、セコム、
ソニーマーケティング、東レ、凸版印刷
制作協力 P.I.C.S.、博報堂DYメディアパートナーズ
協力 フィンエアー
問い合わせ ハローダイヤル 03-5777-8600

観覧料

  • 一般 1,600円、大学生・専門学校生 1,300円、高校生800円、65歳以上 1,000円
  • 12月は高校生無料
  • 11月21日(水)、12月19日(水)、1月16日はシルバーデーにより、65歳以上の方は無料。当日は混雑が予想されます。

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