特別展「マルセル・デュシャンと日本美術」会場レポと見どころ(東京国立博物館 平成館)

会場の展示の様子報道内覧会にて編集部撮影

会場の展示の様子
報道内覧会にて編集部撮影

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[開催中]特別展「マルセル・デュシャンと日本美術」

20世紀の美術に最も影響を与えたフランス系アメリカ人の芸術家・マルセル・デュシャンを紹介する展覧会、東京国立博物館・フィラデルフィア美術館交流企画特別展「マルセル・デュシャンと日本美術」が2018年10月2日(火)より東京国立博物館 平成館で開催されています。(会期は12月9日(日)まで)

デュシャンと言えば、既成品の男子用便器に「泉」というタイトルをつけたレディ・メイド作品があまりにも有名ですが、本展はこの「泉」も観覧できる絶好の機会となります。この記事では特別展「マルセル・デュシャンと日本美術」の見どころを、の会場の展示の様子、また広報画像を交えてご紹介します。

この展覧会では「芸術」をみるのではなく「考える」ことで、さまざまな知的興奮を呼びおこしてください。(東京国立博物館のWEBサイトより:http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1915

  • 東京国立博物館・フィラデルフィア美術館交流企画特別展 「マルセル・デュシャンと日本美術」
  • 2018年10月2日(火)~12月9日(日)
  • 東京国立博物館 平成館特別第1・2室
  • http://www.duchamp2018.jp/

東京国立博物館・フィラデルフィア美術館交流企画特別展
「マルセル・デュシャンと日本美術」チラシ

記者による会場レポート

会場レポートセクションのライター:コロコロ

フィラデルフィア美術館 館長 ティモシー・ラブ氏<br />開会式にて編集部コロコロ撮影

フィラデルフィア美術館 館長 ティモシー・ラブ氏
開会式にて編集部コロコロ撮影

現代美術の父と言われるデュシャン。フィラデルフィア美術館が誇る世界有数のコレクションが、館長 ティモシー・ラブ氏とともにやってきました。デュシャンの60年以上にわたる芸術活動を時系列でたどる展示となっています。展示は平成館2階、エスカレータを境に、特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」の展示も同時に行われています。タイトルの日本美術と何か関係があるのでしょうか?

展覧会のフライヤーを見ると、「花入れと便器の共通点は?」という問いかけがされています。そして裏面には、「美術は見るんじゃない。考えるんだ」とあります。つまりは、ちゃんと考えて見てね…ということが主催者側からのメッセージのようです。モモモサーバーでは編集長が早くから、この展覧会とりあげていますが、それも見ず、展覧会のサイトも見ず、自分で考えてみようと試みてきました。

なぜ、便器がアート?

マルセル・デュシャン 《泉》 1917/1950年Philadelphia Museum of Art. 125th Anniversary Acquisition. Gift (by exchange) of Mrs. Herbert Cameron Morris, 1998© Association Marcel Duchamp / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 G1311

マルセル・デュシャン 《泉》 1917/1950年
Philadelphia Museum of Art. 125th Anniversary Acquisition. Gift (by exchange) of Mrs. Herbert Cameron Morris, 1998
© Association Marcel Duchamp / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 G1311

調べれば、いろいろな見解があるのだと思います。でも、自分なりの答えを出せるまでは、一切の情報をシャットアウトして予備情報なしで、どんな理由か考えてみることにしました。やっとこんなことを言いたいのでは?ということが見えてきたので、そのあといろいろな情報を散策してみました。

デュシャンのことを少し調べてみた

編集長が書いた展覧会の見どころを読んだり「便器がなぜアートなのか」について、どんな解釈があるのか。そして、展覧会が問いかけた「花入れと便器の共通点は?」については、いくら考えてもお手上げ状態でした。

展示風景:報道内覧会にて編集部撮影<br />画面の右下:伝千利休作《竹一重切花入 銘 園城寺》

展示風景:報道内覧会にて編集部撮影
画面の右下:伝千利休作《竹一重切花入 銘 園城寺》

「便器も水入れも、水が入る」そんなしょうもないことしか浮かびません。ともかく自分なりの答えをひねり出したので、答えを探してみることに。

今話題の書籍『いちばんやさしい美術鑑賞』にデュシャンの解説

今、注目されているアートブロガー、青い日記帳氏が書いた『いちばんやさしい美術鑑賞』はご存知でしょうか?この中に、「美術鑑賞は格闘技だ!」という章があり、デュシャンが取り上げられています。なぜ便器がアートなのか自分の答えがでるまでは、この章は読まずにとっていました。答えがやっと出せたので、内覧会への道すがら、電車内で読んでいたのです。考えたこと、なんとなく当たってたかな?でも、他の作品の解説は、文字だけで読んでもわかりません。そんなことを思いながら、会場に到着。

すると著書の中で紹介されていた通称《大ガラス》の作品が目の前に現れたのです。もしかしてこれが例の?と思いながら、まさか、これではないはず。と打ち消していました。だって割れてません。しかしこちらは東大で製作された東京バージョンだったのです。

展示会場のようす:報道内覧会にて編集部コロコロ撮影<br />画面の中央:『彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも』 監修:瀧口修造、東野芳明 1980 (通称《大ガラス》)(東京版)

展示会場の様子:報道内覧会にて編集部コロコロ撮影
画面の中央:『彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも』 監修:瀧口修造、東野芳明 1980 (通称《大ガラス》)(東京版)

文字だけの想像で読んだその直後に、ばったり作品と出会ってしまったのです。解説からイメージしたものと実物があまりの違い驚きました。そして展覧会はデュシャンの一生が一望できて、直前に読んでいたデュシャンの生涯と重ね合わせることができるのです。

見る前に「考える」か、見てから「考える」かという2つのアプローチ。私は見る前に、いろいろな情報に触れることを避けてきましたが、デュシャンの背景を知ってから、展覧会を見たらどのように「考える」のかも興味深いです。今回の「美術は見るんじゃない。考えるんだ」というキャッチを掲げた展覧会。いかに考えるのか…そんなことまで考えさせられるスパイラルに入っていました。

展示の構成とみどころ

以下担当ライター:モモモサーバー

東京国立博物館のYOUTUBEより

左:展示会場の入り口 右:東京国立博物館 本展ワーキングチーフの松嶋雅人さん<br />報道内覧会にて編集部撮影

左:展示会場の入り口 右:東京国立博物館 本展ワーキングチーフの松嶋雅人さん
報道内覧会にて編集部撮影

東京国立博物館 本展ワーキングチーフの松嶋さんの解説によると、今回、デュシャンの作品・写真など152点もが展示され、フィラデルフィア美術館以外ではこれほどまとまっては見られないということです。

また、展示の後半である第2部「デュシャンの向こうに日本がみえる。」では日本の伝統的な価値観を揺り動かしたと言える伝千利休の花入などが展示され、デュシャン作品と日本美術を対比するという世界初の試みがなされています。

第1部 マルセル・デュシャン没後50年記念「デュシャン 人と作品」

第1部は米国・フィラデルフィア美術館がアジアの美術館3館に巡回開催する「デュシャン 人と作品」です。デュシャン自身の作品、関連文献や写真等の資料、150余点が展示され、展覧会を通じてマルセル・デュシャンの人生そのものが語られます。

生涯を通じてデュシャンは「決して繰り返さない」「同じことをしない」よう、常に新しい表現方法を模索し続けてました。一方、その根底に流れる表現は一貫しています。このある種の矛盾と、それぞれの時期の彼の制作物・行為がつながっていることを、作品と資料で明らかにしてゆきます。(プレスリリースより)

第1章 画家としてのデュシャン

1902年から1912年までの間の「画家」としてのデュシャンの作品が紹介されます。

第2章 「芸術」でないような作品をつくることができようか

通常の「絵画」制作を止めたデュシャンの1912年から1917年までの芸術活動をたどります。デュシャンのレディ・メイド作品のうち今回は《車輪》、《瓶乾燥機》、《泉》の3点が出品されます、また東京大学駒場博物館所蔵の《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも》(通称『大ガラス』)の複製(東京版)も展示され、デュシャンの制作意図と作品の意味を考えます。

第3章 ローズ・セラヴィ

1920年代および1930年代のパリ滞在、第二次大戦中に亡命者として過ごしたニューヨークでのデュシャンが取り上げられます。この時期、自らの女性人格として「ローズ・セラヴィ」を生み出し、この人格を使って、ダジャレや語呂遊びなどの言葉の実験を試み、新たな制作に取り組みました。

第4章 遺作

デュシャンが20年以上秘密で部分ごとに制作していた最後の作品『遺作』を映像で紹介するとともに、アイデアノートやメモ類の資料などが展示されます。

第2部 「デュシャンの向こうに日本がみえる。」

日本独特な美意識に注目、日本の美の楽しみ方を新たに提案し、デュシャンの作品とともに日本美術を比べる世界でもはじめての試みとなります。国宝2件、重要文化財8件、重要美術品2件を含む24件が展示されます。(会期中展示替えがあります)

第1章 400年前のレディ・メイド

伝千利休作《竹一重切花入 銘 園城寺》安土桃山時代・天正18年(1950)東京国立博物館蔵 松平直亮氏寄贈

伝千利休作《竹一重切花入 銘 園城寺》
安土桃山時代・天正18年(1950)
東京国立博物館蔵 松平直亮氏寄贈

千利休は職人が作った精巧な器や花器ではなく、傍らにあった竹を花入に用いて絶大な価値を持たせました。これは究極の日常品(レディ・メイド)です。

第2章 日本のリアリズム

東洲斎写楽筆《中山富三郎の宮城野》 江戸時代・寛政6年(1794)東京国立博物館蔵

東洲斎写楽筆《中山富三郎の宮城野》
江戸時代・寛政6年(1794)
東京国立博物館蔵
展示期間:10月30日(火)~11月18日(日)

古来、日本の絵画は記号化された形象によって事物を表現していたのに対して、江戸時代の浮世絵師である東洲斎写楽は、女形を演じる役者を男として描くなど、歌舞伎役者を見たままに描こう(リアリズム)としました。

第3章 日本の時間表現

独自の発展を遂げた日本の絵巻物、特に「異時同図(いじどうず)」という手法は同じ風景や建物の中に同一人物が何度も登場することで時間や物語の経過を表します。これはまさにアニメーションの祖先と言えるでしょう。鎌倉時代の《国宝 平治物語絵巻 六波羅行幸巻》が出品されます。

第4章 オリジナルとコピー

俵屋宗達《龍図》 江戸時代・17世紀東京国立博物館蔵

俵屋宗達《龍図》
江戸時代・17世紀
東京国立博物館蔵
展示期間:10月30日(火)~12月9日(日)

実は近世以前の日本では「模倣(コピー)」が当然のように行われていました。400年の歴史を誇り日本画壇に君臨した狩野派の絵師たちは、連綿と書き続けられた手本をもとに多くの絵画を制作して来ました。

第5章 書という「芸術」

本阿弥光悦作《国宝 船橋蒔絵硯箱》 江戸時代・17世紀東京国立博物館蔵

本阿弥光悦作
《国宝 船橋蒔絵硯箱》
江戸時代・17世紀
東京国立博物館蔵

書:伝阿弥光悦筆、画:俵屋宗達筆《桜山吹図屏風》  江戸時代・17世紀東京国立博物館蔵

書:伝阿弥光悦筆、画:俵屋宗達筆
《桜山吹図屏風》
江戸時代・17世紀
東京国立博物館蔵
展示期間:10月2日(火)~10月28日(日)

東洋において書は、造形の最上位に置かれましたが、日本では絵画や諸工芸とも密接に関わり、字の示す意味だけでなく、文字そのものの形と配置が美と直結する作品が生み出されてきました。

展覧会の概要

項目 内容
展覧会名 東京国立博物館・フィラデルフィア美術館交流企画特別展 「マルセル・デュシャンと日本美術」
会期 2018年10月2日(火)~12月9日(日)
会場 東京国立博物館 平成館特別第1・2室
開館時間 9:30~17:00
金・土曜日、10/31、11/1は21:00まで
入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日
10月8日(月・祝)は開館、翌9日(火)は休館
主催 東京国立博物館、フィラデルフィア美術館
特別協力 キヤノン株式会社
協力 日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社、ミネベアミツミ株式会社
後援 J-WAVE、TBSラジオ
展覧会公式サイト http://www.duchamp2018.jp/
問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)

観覧料について

料金 当日 団体料金(20名以上)
一般 1200円 900円
大学生 900円 600円
高校生 700円 400円
  • 中学生以下無料
  • 障がい者とその介護者1名は無料(障がい者手帳等の提示が必要)

お得な2展セット券も

同一日程の特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」とのお得な2展セット券の販売もあります。

  • セット券は東京国立博物館正門チケット売場にて販売中
料金 当日
一般 2000円

アクセス

  • JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分
  • 東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、東京メトロ千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分

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この記事について

  • ライター:コロコロ(「記者による会場レポート」セクション)、モモン(後半セクション)
  • 編集:モモモサーバー編集部