美術がわからない人は美術館の「年間パス」を作るのが早道!

上野の森美術館編集部撮影

上野の森美術館
編集部撮影

美術展が人気らしいけど、美術ってよくわからない どうしたらいいの?

「美術がわからない」という人は、きっと多いはず。友人が美術好きで「今、〇〇の展覧会やってるんだって」とか「〇〇展、〇時間待ちらしいよ」と話を振られても、いまいち話題に乗れず、疎外感を感じていませんか?

全く興味がないわけじゃなく、美術を理解したいとは思ってる。でも美術館は敷居が高い… 実際に行ったこともあるけど、何にも感じなかった。そもそもどうやって鑑賞したらいいのかわからない。そんな悩みに、私がみつけた手っ取り早く(?)美術がわかる方法を紹介しちゃいます。なんていうと、「わかってもいないくせに… 美術は、そんな簡単にわかるわけない!」と天から声が聞こえるのですが、そこは聞こえないふり(笑)

美術を理解するためには、美術館の年間パスを作っちゃえ!

各美術館の年間パスポート(一部半年も)

いきなり!? と思われてしまうかもしれません。これが意外にも効力を発揮するんです。美術を理解するために必要なこと。それは「とにかく、たくさん見ること!」って言われています。でも、お金がかかります。美術館の入館料は、大体1000円~2000円。どれだけ見たらいいの?理解するまでいったいいくらかかるの?そんなことできません…

そこで強い味方となるのが、美術館の年間パス。ディズニーランドの年間パスポートと同じと思えばいいです。いろいろなタイプがありますが、入館回数の制限がないものを選べば見放題。入館料は全く気にする必要なし。

格言(?)
年間パスポートは、美術理解へのパスポートと心得よ!

美術館の年間パスを選ぶコツー近くの美術館を選ぶ!

年間パスはいろいろあります。じゃあ、最初の一枚はどこの美術館にしましょうか?
それは、最寄りの駅、よく買い物で利用する駅、通勤の経由地にある美術館を選ぶこと。これ、かなり重要なポイントです。

東京ステーションギャラリー 「竹下夢二 百花繚乱」(2018.5) 東京駅直結の立地

美術館によって、日本美術や西洋美術、現代アートなどの専門があり、ジャンルや傾向があります。そして自分の好みにも傾向が… せっかくなら好きなジャンルの美術館の年間パスを手にしたいところ。

しかし、そこはグッと我慢して「近い」「すぐ行ける」「何かのついでに立ち寄れる」そんな場所を選んでおくことが、初めての年間パスを所有する肝の部分なのです。

美術館の年間パスの利用法ーじっくり観なくてもOK

手に入れたら、美術館近くの駅に行った時は、無理してでも必ず立ち寄るという習慣をつけましょう。この時、展覧会の企画をじっくり観る必要は全くありません。ただ館内を歩いて、通り抜けてくるだけでいいんです。

生憎、最寄り駅の美術館が自分の興味がないジャンルだった。あるいは、開催されている企画に興味がない時など。夏場なら、冷房がギンギンに冷えた美術館で暑さをしのぐ。そんな気軽な気持でいいのです。

通り抜けしているだけでも、美術館の空気が、体に少しずつ少しずつ沁み込んでいることが、あとになってじわじわわかります。

見てるのか見てないのかわからないような鑑賞法でも、いろいろメリットがあるのでこのあとご紹介します。

メリット1 美術の基本ワードが身につく

美術の鑑賞を始めた頃というのは、画家の名前も知らない、美術用語もわからない、見るもの聞くものが初めてです。しかし、ただ館内を歩いているだけでも、何かしらインプットされていくようです。

一度、目にした画家や、美術用語と再会した時「それ知ってる!」とちょっとうれしくなります。興味も少し沸いてきます。見たことがある、知っているということがいかに重要なのか。一度、目にしてから、2度目、3度目と繰り返すうちに、知りたい欲求が出てきます。少しずつアートのシャワーが体を潤して、細胞を活性させているように感じられました。

メリット2 気になった作品だけ立ち止まる

館内を歩きながら、気になる作品が出てきたら、立ち止まって鑑賞したり、解説を読んだりします。無理に見ようとせず、気になるものだけ。なければ素通りでいいんです。

自分で入館料を払うと、全部を見ないと損した気分になってしまいます。ところが、いつでも何度も見ることができる年間パスなら、おいしいところだけつまみ食いをする贅沢な鑑賞スタイルも、心置きなくできてしまいます。

メリット3 興味のない美術展も見る習慣ができる

先にも書いたように、美術館の入館料は高いです。興味のない展覧会に行くなんてまずしません。あえて苦手意識のある展覧会を見ていると、自分は何が嫌いなのかわかってきます。好きなものの共通点は比較的みつけやすいですが、嫌いなものも発見できるので面白いのです。

遠い立地の美術館だと、わざわざ行く気にはなれませんが、いつものお散歩ルートとして散策するように鑑賞できます。

メリット4 関心のない美術展の中に発見が!

そごう美術館で2016年に「LaLa原画展」が行われました。漫画を美術館で?とあまり興味がありませんでした。でもいつものように、とりあえず入館して、通り抜けしました。その途中で、漫画は鳥獣戯画や北斎漫画と重なることに気づきました。

漫画も絵画も同じ表現手段なんだとわかると、だんだん面白くなってきたのです。日本ならではの漫画独特の世界があることもわかり、食わず嫌いだったと感じさせられました。

全く興味のないジャンルや人。見るつもりがなくても、会場は一周してみます。ついでがあれば、また訪れてみます。すると何かのきっかけで、自分の好きなジャンルとつながることがあります。

年間パスは、自分では絶対に見ることのない展覧会にも触れることができるので、興味の幅を広げてくれます。そして好みでない美術展にもあえて出かけるのは、ちょっと通っぽくないですか(笑)

メリット5 同じ展覧会を何度も見ると違って見えてくる体験

好きな展覧会なら、好きなだけ出かけることができます。何度見ても飽きません。それができるのが、年間パスの魅力。一度、見たものが全く違って見える瞬間にハッとさせられます。

一方、好きでも嫌いでもない知らない画家を、何度も繰り返し見ているうちに、だんだん気になる存在になってきたという例もありました。私の場合は、国吉康雄作品がそれに当たります。

興味のある絵だけを見ればいいということで鑑賞をしていると、その日によって、目にとまる作品が変わるという面白さがありました。同じ企画を何度も見るうちに、当初は、全く目に入っていなかった作品が、終了間近になって急に飛び込んできたことも…。

そごう美術館 国吉康雄展(2016.6) 国吉のアトリエ再現 展示された描きかけの絵は当初、全く目に入らなかった

同じ展覧会を何度も見たり、好みでない企画でもあえて見るという習慣は、いろいろな発見をもたらしてくれます。頻繁にでかけるためには、その場所へすぐにアクセスできることが重要なポイント。そのため年間パスは、一番利用しやすい場所にある美術館で作るに限ります。

ホームミュージアムのススメ

ホームドクターのように、美術館も近くで、気軽に立ち寄れる場所を一つ持つことをおすすめしたいと思います。好きな美術館を選ぶのではなく、まずはついでの時にすぐ行ける美術館を選んでパスポートを作ります。そしてわからなくてもいいから、とにかく1年間、近くに行ったら立ち寄ることを繰り返します。

見るではなしに見て帰ってくる。これを繰り返すと、次第に、美術の基礎体力がついてくるのを感じられるはず。そのうち、興味が沸くジャンルが出てきたら、大きな展覧会に出かけてみるのもいいでしょう。

そんなホームミュージアムを作っておくと、いつの間にか、美術のことがわかったような気になってくるから不思議。奥は深淵な世界なのでしょうが、まずは一枚の年間パスポートから美術の重い扉を開け、敷居をまたいでみてはいかがでしょうか?

次回はメリット一杯の「サントリー美術館」のパスポートを紹介します。

編集後記

今回、「展覧会の楽しみ方」に関連する話題として、ライター「コロコロ」さんより「年間パス」の活用について寄稿いただきました。他媒体でも活躍されている美術系ライターさんで、今後「モモモサーバー」でも会場レポートなどを執筆していただこうと思っておりますのでご期待くださいませ。(編集長)

関連記事

[まとめ]展覧会を楽しむコツ!美術館や博物館に行く時、知っておくと役に立つこと

2018.04.22
コロコロ

ライター:

ライター 美術ってわかりにくい・・・ 他ジャンルのライター経験を生かして、自分の体験をもとに、どんなポイントをつかむと理解の糸口になるのか、記事にしたいと思っています。 WebSite