[開催中]楽しみ学ぶ日本の美意識「和の明かり×百段階段」

草丘の間

和の明かり×百段階段2018

ホテル雅叙園東京では、2018年7月7日(土)~9月2日(日)まで「和のあかり×百段階段2018 ~日本の色彩、日本のかたち~」が開催されています。このイベント、毎年恒例となっており、2015年から始まりました。今年で4回目。年々盛況をはくし、来場者、参加団体、作品ともに、増え続けているそう。これまでの動員数は、累計が23万人に及ぶといいます。

「百段階段」って知ってる?

ところで、目黒雅叙園の「百段階段」をご存知でしょうか?噂は耳に入ってくるのですが、その実態がよくわかりませんでした。なにやら珍しい建築で、内装は絢爛豪華、文化財級の価値がある建物らしいと聞きます。(⇒実際に2009年、東京都指定有形文化財に認定されたそう。)

ところが、通常は公開されておらず、目の当たりにはできないというのです。しかし、宿泊者にだけは、こっそり(?)公開してるという話があったり、そうかと思えば、時々、特別公開中という話が流れてきたりと、実態がよくわからず、雲をつかむような状態でした。そんなところに「和のあかり×百段階段2018」を開催しているという情報が飛び込んできたので、出かけてみました。

百段階段って何? その前に雅叙園の歴史を少しばかり

今年で90周年を迎える老舗ホテルで、2017年「ホテル雅叙園東京」へと改名。日本美のミュージアムホテルとしてリブランドしました。以前は「目黒雅叙園」という名称の料亭で、日本で初の総合結婚式場という歴史も合わせ持ちます。

ルーツは、自宅を改装して純日本式料亭を営んでいたことから始まり、さらに、本物の北京料理をとことんこだわって提供する(←ここポイント)和と中の高級料亭でした。

1931年(昭和6年)には、より多くの人、庶民や家族連れも利用できるようにと目黒に移転しました。増改築を繰り返しながら7号館まで作られていました。

百段階段とは

「百段階段」は、目黒に移転したあと、昭和10年に建てられた3号館の通称です。現存する唯一の木造建築だそう。

「目黒雅叙園」時代の全体図

「目黒雅叙園」時代の全体図

Googleのマップの写真で確認すると、斜面になった傾斜地を上るように建物が連なっています。

 見どころ

階段横の各部屋の装飾の豪華さは別格。最近の研究で桃山風の趣向が凝らされていることがわかったそう。さらに日光東照宮の系列(←ここもポイント)江戸の歌舞伎の文化由来のものあり「美意識」の最高到達点とのこと。2009年に東京都の有形文化財に指定されました。ホテルの受付で百段階段のパンフレットをいただくことができます。各部屋の見どころ解説がされていますので、入手しておくことをおすすめします。

最近、美術界隈のトレンドワードは「美意識」です。この建物の「美意識」は、最高到達点に達した「美意識」です。それは「昭和の竜宮城」と表現されるほど。

ところで「美意識」と言うと、侘び寂を思い浮かべる方も多いかもしれません。日本の「美意識」は春蘭豪華な美と、侘び寂のような簡素な美があります。侘び寂は千利休などによって江戸時代に入って広められました。百段階段の美は、桃山時代の美であることから、時代による異なる美を、歴史を頭に置きながら、この建物で体感してみてはいかがでしょうか?

頂上の間 一葉式いけ花

最上階「頂上の間」には、ダイナミックな生け花が…。

ここの撮影は、みんなカメラを床面に置いて、はいつくばっていました。どうしたのかな?と思ったら、作者の方がいらして、こうやって撮影するときれいに撮れますとご指南があったようです。

床面はタイルが張られて鏡面反射します。それを利用して幻想的な世界が広がります。ところでこの古い建物に、この部屋だけタイルが敷かれていたのでしょうか? テープで簡易的にはりつけて演出したのだそうです。

生け込みは、その場、その場のイメージ、インスピレーションで行うそう。ラフ図を描いたりしないのかと質問したら、「それをしたらデザインになってしまいます。これは生け花ですから…」と。

天井のガラスを星に見立て、満点の星空の元、右手の生け込みは山。山から流れだした水はやがて海に流れ込みます。白い渦は波でしょうか?山の木には鳥を模した極楽鳥花 ストレリチアを配しています。ここは結婚式場、ならばツガイに… 枝からさがるつららのようなガラス木からしたたる水滴… それが川となり海に流れていきます。同じ空間をともにする作家さんたちの作品も取り込んで、ストーリーを展開しています。次回のイベント「いけばな×百段階段2018」にも出展されるそうです。

天井をチェック

漁樵の間の天井は彫り物

漁樵の間の天井は彫り物

清方の間は、扇面形杉柾板に式草花

清方の間は、扇面形杉柾板に式草花

各部屋の匠の技を駆使した天井に注目。これは、日光東照宮の系列の寺社建築で、格天井(ごうてんじょう)と言われるものです。旅行にでかけると、よく目にするので、覚えておくと、ちょっとだけ鼻が高くなるかも(笑)
最近では水戸岡デザインで有名な高級列車の天井に使われて話題になりました。富士屋ホテル、金谷ホテルの天井もこれです。格子の天井を見たら日光、格天井。あちこちで目にする若冲も、格子天井に絵を描いています。

日本的でない豪華な螺鈿

百段階段へはエントランスを入って左手のエレベータで上に上がります。まずそのドアの前でひと驚き。エレベータ内に入って2度目のびっくり。螺鈿と言われる貝殻を使った装飾が、エレベータ全面に施されています。

特注の螺鈿が施されたエレベーター

そして最初の部屋「十畝(じっぽ)の間」に入ると・・・・ あかりに目が奪われて見逃してしまいますが、荒木十畝が描いた黒漆の螺鈿細工が部屋一面にちりばめられいます。

ちょっと派手すぎ?この螺鈿細工。中国から入ってきた技術で、中国では貝殻を全面にちりばめます。ところが日本に入ってきてからは、全面装飾はせず、控え目に発達したと、先日、根津美術館で行われた「はじめての古美術鑑賞 ー漆の装飾と技法ー」で学んできたところです。

こちらの螺鈿使いは、どうも日本的ではありません。オーナーの趣味かしらと思いながら、スタッフさんに伺ってみました。すると、こちらの前進の料亭では、北京料理をお出ししていたので、その関係ではないでしょうか?とのこと。

日本で初めて中華の円卓を取り入れたのもこちらだそうで、全面に豪華な螺鈿がほどこされたテーブルがあるのだそうです。前出の歴史と、螺鈿の派手さは、本物の北京料理を提供するといういうコンセプトによる設えであったことがわかりました。

匠の技

こまやかな匠の技が、随所に見られます。

窓にも飾りが。

一部修復したあとが見られます。これからも引き継がれていくのでしょう。

謎が明らかに

百段階段は、傾斜地を利用した斜面に階段を設え、そこに、豪華絢爛な贅を尽くしたかつての集いの間が併設されていたのでした。そして、開かずの間かと思っていましたが、比較的、オープンにされており、定期的なイベントが行われていることがわかりました。

お食事つきのツアーなども開催されていて、百段階段トリビアをいろいろ伺えそうです。

イベントの概要

「和のあかり×百段階段2018 ~日本の色彩、日本のかたち~」は9月2日までの開催

項目 内容
展覧会名 「和のあかり×百段階段2018 ~日本の色彩、日本のかたち~」
開催期間 2018年7月7日(土)~9月2日(日) ※会期中無休
開催時間 月~木曜日 10:00~17:00(最終入館16:30)|
金・土・日・祝および8/13~17 10:00~20:00(最終入館19:30)
※写真撮影可能(三脚・フラッシュ撮影NG)
入場料 当日 1,500円、前売 1,200円
(館内前売 1,000円7/6迄)
学生 800円※要学生証呈示、小学生以下無料
会場 ホテル雅叙園東京
お問合せ 03-5434-3140(イベント企画10:00~18:00)
http://www.hotelgajoen-tokyo.com/event/wanoakari2018
主催 和のあかり展実行委員会
後援 目黒区、めぐろ観光まちづくり協会、カナダ大使館

関連記事

写真撮影OK!都内最大級のあかりアート展「和のあかり×百段階段 2018」(ホテル雅叙園東京・目黒)

2018.07.06