[初心者向けに解説]企画展「禅僧の交流 墨蹟と水墨画を楽しむ」

会場入口

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※主催者の許可を得て撮影しています。

禅僧の交流ってどんな交流? 墨蹟って何? 初心者が楽しめるポイントとは

根津美術館では、企画展「禅僧の交流-墨蹟と水墨画を楽しむ-」が始まりました。開催期間は2018年9月1日(土)~10月8日(月・祝)。禅僧と言われても、禅はよく耳にしますが、わかっているようでよくわかりません。墨蹟(ぼくせき)も何のことでしょうか?墨のことのような気もしますが・・・・ ちょっととっつきにくい感じがするので、初心者向けに見どころを解説致します。

館内の中2階に設えられた坐禅ブース

日本と中国の禅僧は、交流を持っていた

日本と中国の僧の交流は、最初は憧れ。そして中国に留学し、中国からも僧が来日しました。

展覧会のタイトル「禅僧の交流」とは、中世(13~14世紀、鎌倉時代から室町時代。中国は宋・元・明の時代)日本と中国の僧の交流を意味しています。古来より日本と中国は交流があり、遣唐使が廃止されても、商人の船で海を渡り、親しく交流を持っていました。日本の文化は、中国に学ぶことから始まっており、たくさんの僧が禅宗の中心地、中国に渡って学びました。

日本の僧は、修行先の中国で、宗教的な詩を、請い受けて帰国しました。師は自らの意思で決めます。師と弟子の関係を表したものが下の法系図です。日本人として初めて中国僧に師事したといわれるのは、東福寺を開山した円爾(えんに)です。円爾は、帰国してからも師と手紙の交流があり、師弟の絆の強さが伺える尺牘(せきとく)という手紙も展示されています。

法系図(師と弟子の関係を系譜として図示したもの)

法系図(師と弟子の関係を系譜として図示したもの)

墨蹟って何?

墨蹟とは、禅僧が書いた書のこと。教えを書いた墨の書が、師から弟子へ与えられました。また日本の僧は、中国僧にならって文化サークルを作り仲間で集まり、描かれた絵を鑑賞して、詩(これを賛という)を読んで書きました。室町時代に流行り、詩を書いた絵からなる掛幅を「詩画軸」といいます。作品として今に伝わっています。

(写真右)江天遠図 伝 周文筆 大岳周崇ほか賛 一幅 紙本墨画淡彩 日本・室町時代 15世紀 根津美術館 他3点

右の軸に描かれた絵の上部には、様々な書体の12人の文字があります。それぞれの僧が、描かれた情景に入り込み、詩を読んでいます。書かれた内容がわからなくても、室町時代の禅僧の個性あふれる文字。大きさや間隔、太さや濃さなどが違っていて、寄せ書きのようです。これらの文字から、楽しそうに集う声まで聞こえてくるような気がします。

描かれた絵は、静かな山あいの水辺にひっそりと建つ茅屋。彼らにとって日常を離れた理想の情景だったのだそう。

絵を専門とする画僧の誕生

雪舟は誰もが知っている有名な画家ですが、もともとは禅僧でした。絵画を描くことが専門となり、画家としての知名度の方が高くなりました。このように僧侶であって絵をよくする者を「画僧」と言います。雪舟の他に雪村などがいます。

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